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【No,84】
施設名: 特別養護老人ホームさくら苑
職名: 生活相談員 氏名: 山平 謙吉
心は家族、心は家庭


 10月3日、この人は自室で家族に見守られ、静かに息を引き取った。入所者90歳の女性である。10年前から痴呆症の診断で精神病院、老人保健施設を経て当苑に入所、かれこれ4年半の在所となる。苑の生活は穏やかとは言えず、絶えず「家に帰りたい」という気持ちが先行し、精神不安が目についた。最近になって生きる力が消失してしまい、とうとうターミナルケアを迎える時がきた。これに伴い、できれば家庭で見取ることがとてもよいこととして、家族と話し合いをした。その結果、自宅で家族がやってみようということになった。
 この実話にあたり、苑は3つの方針を申し合わせた。@今回は自宅帰省という取り扱いとし、毎日、当苑介護・看護スタッフが訪問する。A必要に応じ嘱託医が往診する。B生命維持もしくは回復の兆しが見られる場合は、再び苑に戻す。というもの。

  さて、10月1日、本人は念願の自宅へ帰ることができた。子ども、孫たちみんなが待ち受ける家族のもとへ。それから3日目、本人は家族ひとりひとりの手を握りしめ、その手を自分の額に持っていき、拝むように「ありがとう、世話になった」という言葉を出したそうだ。しかし、この日の夜遅く、当苑嘱託医の往診後、家族の見守る中で静かに息を引き取った。

  翌朝、この知らせを受けた苑は、すぐにスタッフが自宅へ駆けつけた。家族の話は、「これでよかった。自宅で見取ることができて満足である」とのことだった。さらに加えて「本人には随分苦労をかけた。家族ができなかった介護を「さくら苑」がやってくれた。本人にも「さくら苑」にも感謝したい」と言う。90歳の人生の最後は家庭で幕を閉じた。
 こうしたターミナルケアをどこにするか。病院、施設、家庭という3つの選択だが、できれば家庭が最も望ましい姿ではないだろうか。




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