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【No,89】
施設名: 特別養護老人ホーム寿恵園
職名: 介護主任 氏名: 目黒 ひとみ
痴呆性老人のケアについて


 皆さん、こんにちは。今日は当施設で行われている痴呆性老人に対してのケアについて、施設レベルでどのような対応をしているのか発表させていただきます。
 まず環境面からです。居室はそれぞれ個室、二人部屋、四人部屋とあり、利用者の入所前の生活環境や、本人の希望、身体状況に応じて居室を選んでいます。居室に面した廊下は回路式になっており、利用者の安全面を配慮した手すりの設置、曲がり角の壁の側面をアール状にし、万が一、ぶつかった際のけがの軽減を図る工夫等、利用者に対しいくらかでも安全な移動空間の提供にも努めています。
 次に食堂、各行事、催し物の会場となる大ホールですが、日中は殆どの方がこのホールを利用なさっています。それといいますのも、ホールの側面がガラス張りとなっており、明るい光が差し込み、窓から見える日本庭園や木々の緑が利用者の心の癒しともなっているからです。ホール中央部には畳み十畳が敷かれ、横になってくつろぎ、テレビやビデオ鑑賞をすることも出来ます。また、催し物会場ともなり誕生会や各種行事を通じ、利用者家族にも来園してもらい、バイキング昼食会にて利用者と一緒に食事をとってもらう等、家族との絆を深める場としても役立っています。
 つづきまして、痴呆の方の介護をする際、私たちが気をつけていることを五つ項目にし、まとめてみましたので紹介したいと思います。

  まず一つ、利用者の方への声掛け、スキンシップを大事にすることです。利用者の方が自分の名前を呼ばれたり、声をかけられることで刺激となり、自ら言葉を発するようにもなります。これは会話へと発展し、人と触れ合うことにも通じます。ふれあいはまた孤独感を取り除き、安心感を得ることにもつながります。
 二つに、利用者のペースに合わせる、また相手の気持ちを察し、行動を共にすることです。痴呆の方は急に不安になり徘徊したり、家に帰りたいと訴えたりすることがあります。そんな時は行動を共にし、散歩したり、本人が納得できるまで可能な限り会話を行うようにしています。
 三つに、痴呆の進行を防ぐための働きかけです。これはレクリエーション活動を通じ、楽しく体を動かし、脳への刺激を与えていくことです。手芸クラブでの刺し子、雑巾縫い、クラフトでの貼り絵、折り紙等の作製により指先を使った運動が行われます。またボール遊び、風船バレー、輪投げ等を行うことで上半身の運動となります。童謡、民謡を聴くまたは歌うことによって過去を思い出し精神的に癒される方もいます。ドライブ、散歩、ショッピングにて外出することにより、徘徊、帰宅願望等が落ち着く方もいます。いずれにしろ、楽しく身体面、精神面の両方への働きかけをしたレクリエーション活動が痴呆進行の効果的予防となります。
 四つに、排泄の介助についてです。排泄は人間にとって一番みられたくない、または他者の世話になりたくない、でも生活していく上でなくてはならない生理的欲求の一つです。何らかの原因で人の世話によって排泄しなければならなくなり、羞恥心が崩壊し、痴呆に陥る方もいます。ですからいくらかでも自立して排泄できるよう施設では次のような取り組みをしています。歩くことが出来ず、車椅子移動の方であっても、手すり等につかまり立ち上がりが出来る方の場合、定期的、または本人の訴え時等にトイレ誘導を行い排泄してもらっています。これを繰り返すことにより、本人の羞恥心が回復され、精神面が安定し、日常的動作が飛躍的に回復なさる方もいらっしゃいます。すべてのケースがこの介護方法に当てはまるわけではないですが、ほんの一例として紹介させていただきました。
 五つに事故防止対策です。痴呆性老人には、ゴミ等の異物を口に入れ食べてしまう、歩行不能であっても車椅子・ベットから降り歩こうとする、徘徊し自分の部屋が分からなくなる、等の問題行動が、事故につながる恐れがある方が多くいらっしゃいます。そうならないためにも、常日頃の施設設備の点検、利用者の行動観察の充実、付き添いや見守りを重視し、可能な限りの事故防止に努めています。また精神科医の月二回の来園により、専門分野からの指導、助言を頂き問題行動の軽減を医療面からもサポートしています。

  以上、痴呆性老人のケアをする際、気をつけている五つの項目を話しましたが、そのほかにも日々の申し送り、全職員参加の定期的に行うケース検討会、状況に応じて開く小規模会議等を通じ、個々の利用者の情報交換、連絡事項、話し合いを十分行い、自分たちのケアがこれで良いのか、常に見直しを行っています。今後とも、介護職としての知識と技術、そして温かい気持ちを持って、利用者の方々が、安心・安全に暮らせる施設作りに努めていきたいと思います。




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