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【No,137】
施設名: 特別養護老人ホーム ロートピア仙南
職名: 施設長 氏名: 佐藤 義勝
美しく感動的な介護について


 普段あまり本を読まない私が、珍しく最後まで一気に読んだ小説がある。この物語は、アルツハイマーで回復の見込みがないと宣告された妻を介護する80歳の夫が主人公の純愛小説である。2人は運命的な出会いをし、身分の違いや親の反対を乗り越えて結婚。その後、夫は50年間ひたすら(?)妻を愛し続けたが、妻は認知症で夫の記憶を失ってしまう。そんな妻に夫は、過ぎし日の2人の恋愛を物語として毎日語っていく。そんな永遠に1人の女性を愛する男性の姿をつづったラブストーリーである。
 この物語は実話に基づくものだというが、そんな男(夫)などいるわけがない。少なくとも私の身近にはいない。(私以外は…)それでは、どこかにこの純愛物語を打ち砕くヒントはないものかとさがしてしまう。以前に聞いた認知症専門医の話を思い出した。認知症になると最近のものから、そして重要でないこと、重要でないものから忘れてくるという。女性が認知症になった場合、一番最初に顔が分からなくなるのは夫であることが多く、それに対して男性は、比較的重度になっても長く妻の顔を忘れないという。要するに、妻にとって夫というものは、世の中であまり重要な存在ではないということになる。

  このストーリーの中で、夫が2人の愛の軌跡をつづったノートを妻に読み聞かせるのだが、結局最後に妻から「あなたは誰?」と聞かれる場面が出てくる。「ほら、見たことか。」と私は心の中で拍手喝采をしたものである。

  このところ純愛路線の作品が売れているという。年老いて夫が呆ける、または妻が呆ける。さらには夫婦ともに呆けるという事態は切実な問題であり、介護をめぐる悲惨な話も世間に溢れているが、そんな現実を美しく感動的にする物語が今求められているのではないだろうか。




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