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【No,171】 |
施設名: 特別養護老人ホーム 健寿苑 |
職名: 副主任介護士 |
氏名: 阿部 あい子 |
「暮らしの中の絆」 |
介護の仕事に就いたのは、20代の頃でした。その頃よく思ったことは、話すこともなく、食べることもなくじっと横になっている利用者の方々について、「生きているということ」または「生活」とは何だろうかという疑問でした。
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長年、利用者の方々のお世話をしていて、利用者ご本人がことばを発しなくても、じっと見つめられたり、何らかの身ぶりで示されたり、時には発熱で示されたりと、ご本人のみの「生活」があるのだと、ここ何年かでわかりかけてきたように思います。
私事ではありますが、このところ平岩弓枝の「御宿かわせみ」という時代小説にはまっています。「かわせみ」の女主人“るい”とその恋人が織りなす人情捕物シリーズです。その中でいつも感心するのは、登場する人々の心です。寝たきりの人も放っておかない、親戚でもない近所の誰彼が世話を焼く、そんな絆が描かれています。
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相手がどんな障害を負っていようとも、人と人との絆を当り前とする暮らしがあり、今にいたることを考えると、施設を利用される方々とは暮らしを通して絆で結ばれていると感じます。
私達職員のことは利用者ご本人の記憶に残り、且つ利用者の方々は私達職員の記憶に残り、楽しかったことがよく思い出されます。
この絆を家族はもとより、地域へと展開できれば、施設での暮らしがより当り前になるのではと感じています。
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