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【No,191】
施設名: ケアタウンたかのすデイサービスセンタ−
職名:  氏名: 佐藤 真
「ケアタウンたかのす」における認知症高齢者ケアへの挑戦


 健康な人でも年を重ねるごとに物忘れは多くなります。普通の物忘れは体験したことの一部を忘れたりしますが、物忘れに対して自覚症状があります。しかし、認知症の場合は新しいことを覚えること、「先ほど」のことを思い出すこと、昔のことを思い出すこと、自分の思いや考えを相手に上手に伝えたりすることが困難になってきます。だからと言って認知症高齢者はすべての記憶や能力を失い、何もわからなくなったわけでは決してありません。
 私たちが運営しているケアタウンたかのすでは「忘却の湖」という考えをもとに認知症高齢者を理解し個別ケアに取り組んでおります。
 図1は、認知症高齢者の状態を理解していただく上で参考になればと描いたものです。図にある曲線を山、横に引いた直線を水面に見立てて下さい。高さの違う山が記憶の山です。その山が直線の「忘却の湖」に囲まれた状態が認知症高齢者の状態と理解して下さい。つまり、高さの違う山々はこれまで培ってきた記憶、そして一番高い山頂は人生において、特に印象深い出来事や思い出です。認知症は進行性の病気です。進行するということは忘却の湖の水位が上がり、記憶の山はその湖の水面に徐々に覆われていくという状況です。そして、湖から突きでている部分だけが記憶として残っていると考えて下さい。水面から顔を出している記憶の山々は一見すると、それぞれ点として捉えがちですが、実は水面の下でしっかり繋がっています。

  私たちは生活を送る上でその繋がりの部分に自分で関連性を持たせながら、生活を組み立てています。しかし認知症高齢者の場合は、忘却の湖に沈んでしまっている部分が多いため、自分自身の残っている能力ではそうした関連付けが困難になります。 そこで、そばに居る私たちが湖に隠れている関連性を見つけ出していくことで認知症高齢者は安心して生活を継続することが可能になります。そのために私たちがすべきことは、まず認知症高齢者がどんな人(個人史)なのかを知ろうとすることです。何と呼ばれていたか?癖は?関心事は?何を喜び、悲しむか?家族との関係は?などなど。
 その個人史をもとに、私たちは目の前にいる認知症高齢者の「心の鏡」となり「その人」を頭の中で描き、近づこうとすることが個別ケアの第一歩ではないでしょうか?そして「その人」を頭の中で創り出すのです。その上で、代わりに生活を組み立て判断していきます。その人を知れば知るほど良い判断ができ、良い生活を組み立て提供することができます。ときには「その人」以上に情報を持っていなければ一人の人を支えることはできないのではないかと思います。

  認知症高齢者は、私たちの言葉や行動、間違った判断で傷つきます。自分の思いを伝えることが困難な認知症高齢者は、不安になり大声を上げ、混乱した気持ちを徘徊などといった行動で示してくれています。それを勝手に私たちは問題行動として捉えてしまいます。認知症の方は私たちに言葉ではうまく伝えることができなくても、いわゆる問題行動と言われるシグナルで、私たちに伝えてくれています。実はそのシグナルを理解できず、見逃している私たちに問題があるのではないでしょうか。
 認知症高齢者ケアはすべてのケアの基本と言えます。たった一人の認知症高齢者の生活を支えるには個別ケアが不可欠です。一人の人間として関わりを多く持つことで必ず「その人」が見えてきます。見えてくるとその人に代わって「良い判断」をすることができます。認知症高齢者「その人」を理解し良い判断をすることで「問題行動」や「抑制」と言った言葉は私たちから消えてなくなるでしょう。
 私たちケアタウンたかのすでは認知症高齢者が「その人らしさを表現し人生を築き続ける居場所」となるよう常に@横に座る Aその人を知る B嘘をつかない Cゆっくりと穏やかに D市民生活を… を理念に、これからも真正面から認知症高齢者と向き合っていきたいと考えています。




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