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【No,203】 |
施設名: 特別養護老人ホーム すこやか横手 |
職名: 総務課 主任 |
氏名: 三枝 誠一 |
偉大なる人生の初心者 |
欲求段階説を唱えたマズロー(Maslow,A.H.)の関心はもっぱら行動主義心理学でしたが、ある時期を境に、人間性心理学へと向かっていきました。ニューヨークでの、アドラー(Adler, A.)をはじめ、エーリッヒ・フロム(Fromm, E.)、カーレン・ホーナイ(Horney, K.)、ルース・ベネディクト(Benedict, R.)らとの出会いが彼の学問的立場(マズローはみずからそれを第三勢力と名づけた)を決定したとも言われています。
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しかし、もう一つ、人生における決定的な出来事があったことをご存知でしょうか? それは、彼自身が、自分の赤ん坊を目の前にして次のような言葉から、行動主義心理学から離れていく様子がわかるような気がします。
「私は、このかわいらしくて、不思議な生き物をよく見てみると、行動主義のアプローチがとてもばからしく思えてきました。誰でも赤ん坊を持ったら、行動主義になりようがありません。」
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私は社会福祉事業に関わりはじめて10年が過ぎました。今年の3月にはじめての赤ん坊を持ちました。赤ちゃんをつれて街に出ると、今までには起こりえなかった、様々な世代、地域の方々とのコミュニケーションが次々と自然に発生していくことに、驚かされました。
当法人の理念に「潤いとゆとり、明るさと笑顔の交差点であるように」「地域と共に歩み、世代を超えた交流の場であるように」というのがあります。今、目の前で、この理念がこんなにも簡単に、そして自然に実践されています。「赤ちゃんパワー」と言ってしまえばそれまでですが、これは間違いなく、コミュニティの自然な姿、正常な反応なのではないでしょうか?
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本来、自然に起こりうることを、私たちは一生懸命、作為的に実現しようとしているような気がしてなりません。コミュニティに働きかけるのではなく、私たちが先ずコミュニティに役立たなければならないのですね。
赤ちゃんは、いろいろなことを日々気づかせてくれます。折角の機会ですから、日々学ばせてもらうことにしました。本当に偉大なる人生の初心者です。
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