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【No,265】 |
施設名: 特別養護老人ホーム リンデンバウムいずみ |
職名: |
氏名: はるよこい |
就業支援実習を受け入れて |
今年は暖冬と予想されていたので、12月の雪はそのうち溶けるだろうと高を括っていたが、除雪が間に合わないほどの豪雪になった。秋田では88年ぶりの記録更新とか。
そんな悪天候の年の瀬の夕方、施設の玄関に雪まみれのやせた青年が入って来た。メガネもワイパーをかけてあげたいくらい水滴がついている。その彼が私を見つけるや「大変お世話になってありがとうございました。」と、今働いているお店の商品であるキリタンポを2パック差し出した。帽子と手袋をきちんとはずしてである。
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彼は昨年の9月下旬から一ヶ月間、当特別養護老人ホームで就業目的の実習を行ったのである。知的障がいをもつ彼は、数年勤めた会社でリストラの対象になったと言う。秋田名物キリタンポは、年末の需要期を向かえ、幸運にもその製造会社に就職できたが、今季で解雇とのこと。なのに明るい笑顔で、最初の給料をもらったら、お世話になった人たちに商品のキリタンポを買って食べさせると決めていたと言う。
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9月下旬、汗をかきながら一生懸命働いて、水分補給やトイレも進めないと行かないほどの生真面目な様子が目に焼きついている。
やせ細ったT君が汗を流して働いて得たお金で買ったキリタンポはわが家のお正月のご馳走になった。そしてそのいわれを話して聞かせたら、娘が涙を拭っていた。どこの老舗のものより美味しい、心温まるご馳走だった。
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お正月三箇日はお天気だったものの、その後は豪雪続きの秋田市だが、今T君はどうしているのだろうか。いい勤め先に恵まれていたらいいなと思わずにはいられない。
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