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【No,331】
施設名: 特別養護老人ホーム健寿苑
職名: 生活相談員 氏名: 斎藤 潤一郎
時間について(ターミナルケアへの所感)


 2年前に死亡された利用者の家族から、その方の夫の忌明けのお知らせと、お世話になった御礼のことばが綴られたはがきが届く。
 毎週末バイクで面会に訪れる夫を心待ちにし、難病でベッド上生活が長く、節々が痛いと訴えるわけでもなく、また積もった話をするわけでもなく、ご夫婦で夕暮れが近づくまで一緒に過ごしておられた情景が目に浮かぶ。旦那さんの誕生日や季節の折々に、預金から引き出し「旦那にお礼だ。」とその笑顔も在りし日の窓外の眩しさとともに思い出す。
 「いつまでもここで」とおっしゃっていたその方は、病院で息を引きとった。それから2年間、旦那さんの思いは、娘さんに伝わっていたのだろうか。したためられたはがきは、ご遺族の思いが当苑とともに在ることが伝わってくる内容であった。
 存在と時間と場所、ターミナルケアに欠かせないこの3つ。その内の時間とは?

  現在は、ターミナルが近づいた方の最後の場所を決め、毎週家族と医師と職員を交えたケアカンファレンスをまとめながら、家族の重いが時間とともに深くなるのを感じている。
 ある方の息子さんが「家も掃除し、親戚にも知らせた、ばあちゃんなかなか逝ってくれない」とご本人の前で話され、ヤマ場の今夜をはるかに超え、10日後にお亡くなりになった。その間、ケアカンファレンスを3日置きに開催し、連日交代で付き添っていただいた。

  その方の息づかいが深まるにつれ、息子さんは仕事の都合を口にしなくなった。
 この10日間、私達はその方から尊厳を教えられた。
「ばあちゃんは頑張った。」息子さんの目じりは赤かった。
 「思いは伝わり生きる」ことを教えてくれたはがきを、机の上に置き、必要に追われ、深い思い入れもなく作ったターミナルケアの指針を、今、漠として眺めている。




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